原文のタイトルは、「Unearthing the Mysteries of the Leslie Cabinet」です。1981年4月にClifford A. HenricksenによってRecording Engineer/Producer マガジンに発表されました。レズリーの秘密を音響学的、物理的、電気的に解明しています。本サイトでは、現在の管理者であるMarc A. Mercierから許可を受け掲載しています。なお、この記事は、米国Hammond Leslie FAQのサイトに公開されています。原文で読みたい方は、こちらをどうぞ。

レズリーキャビネットの秘密を究明する

Clifford A. Henricksen
Community Light & Sound

レコーディング・エンジニア・プロデューサマガジンの1981年4月号で最初に発表されました。

 レズリー回転スピーカシステムは、多くのミュージシャンが使用し、他では、まねできない独特の音色を提供してきました。レズリーは、録音やライブにおいて世界的に有名ななスピーカとなっています。愛すべきハモンドB-3オルガン、ボーカル、エレキギターなどは、レスリースピーカの恩恵をずっとこうむってきました。そしてその結果として、数え切れないヒットが生まれました。この記事は、レズリースピーカの動作原理のミステリーを究明し、ステージやスタジオにおいて実用的なレズリーキャビネットの使用について説明します。

 レズリースピーカと私の愛憎の関係は60年代中ばにハモンドオルガンを購入したことから始まります。セールスマンは私にB-3を鳴らすために最後にはレズリーを買うことになりますよと言いました。これは、いつものセールストークだろうと相手にしなかったのですが、その時点では、レズリーが何なのかも分かりませんでした。ハモンド購入の理由は、Animals'のオルガニストであるAlan Priceが初期のヒットのすべてに、とりわけ"The House of the Rising Sun." において、そのオルガンを使っていたからです。私は、New YorkのSchenectadyで、そのバンドがハモンドのM-102をFender Bandmaster Ampに直接つないで演奏しているのを見て、このサウンドがほしくなったわけですが、そのバンドの音の方が良い音で鳴らしていることに気づいたのです。Booker T. Jones、 Felix Cavaliere、 Gary Brooker、Billy Prestonなどの多くのアーティストがレズリーを使用していると知るまでに、それほど長い時間はかかりませんでした。そして、まさにそれが私の求めていた音だったのです。

 私の最初のレズリーは、とてもよい音で鳴った40ワットの真空管・アンプを持った単一スピードのモデル45でしたが、私が演奏していたボストンが本拠のロックンロール・バンドの咆哮の中で文字通り無くなってしまいました。2つの大きなレズリースピーカは移動するのに厄介で、レベル的(3dBの増加)に大きな改善はなく、トレブルドライバは故障してしまった。その時以来、ヘッドやオーバサイズのピストンを削ったりというゲリラ的なスピードショップまわりという戦術を続け、どんなギタープレイヤーからも知られるようになりました。その結果、私はレズリーのリペア、改造、特別仕様の専門家になり、ときどきギターで最愛のレズリーを鳴らすようになったのです。私は、過去15年間をスタジオ及びステージという両方の音楽ビジネスの中で過ごしました。この時間の大部分は、なんらかの形でレズリースピーカに関係しています。あなたが想像するように、これはロックンロール物語です。私はここで、私の偏見を見せるかもしれません。これを念頭において、ここに、私がその期間に学んだものをご紹介しましょう。

動作の原理


 まず、もっとも大事なのは、レズリー回転スピーカは、音を変更するデバイスとして設計されたということです。「ハイファイ」のスピーカーではなく、むしろ楽器の一部と考えたほうが良いでしょう。つまり、忠実に再生するためではなく、音を変更するためにレズリーを使用するということです。

 発明者(Don Leslie)の名前を冠したレズリースピーカシステムは、次の単純な原理で動作します。それは、方向性のある音源が、固定軸のまわりを一定(あるいは可変)の速度で回転するということです。

 この回転部分からある距離を持ったリスニングポイントにおいて、三つのことが起きています。まず第一に、音源に方向性があるため、リスナー(あるいはマイクロホン)に音源が向かったときに音の強さが最大となります。音の強さは、中心に向かうにしたがって増加し、中心から遠ざかるにしたがって減少します。
結果として生じる効果は、振幅変調(AM)であり、これは、たいしたことではありません。なぜならビブラートやトレモロ機能を備えたギター・アンプであれば、既に持っている機能だからです。回転するスピーカーに接近することによって、二乗に反比例して変調効果は増加します。

 しかしながら、大切なのはレズリーが周波数変調(FM)を起こすということです。
音源がリスナーの方へ回転するとともに、その相対速度は再生している音のピッチを増加させます。それが遠方に遠ざかると、ピッチは、低下します。
これは列車の警笛(列車上のどんな音でさえ)などに変化をもたらすドップラー効果、そのものです。列車が近づくときに音は高くなり、遠ざかるときに音は低くなります。
訳注:これは、サイレンを鳴らす車が自分の前を通り過ぎる時に現れる効果と同じです。

 最後の効果として、適当な反響を持つ部屋の中で聞いている場合には、音が一面に「放射」され、多数の反射面にぶつかることによって発生する完全な空間変調をあげることができます。

 もし、この一風変わった回転スピーカのすべてを知りたければドン・レズリーのオリジナルの特許のコピー(RE#23,323および2,622,693)をアメリカ特許庁(ワシントンD.C.の20231)から得ると良いでしょう。コピー1枚に付き、50セントで入手できます。この特許の仕様書は、レズリーファンにとって、信じられないくらい楽しめるドキュメントです。
訳注:50セントは、1981年当時の価格です。

現実のレズリー
 レズリーの原理の実際的で商用的なモデルには数多くのものがあります。実際、レズリースピーカのメーカーであるElectro Music Inc.(今はハモンドオルガンカンパニーの1部門)は、多くの種類のレズリーを生産しています。リバーブ、3チャネル、回転する円錐スピーカーを備えたモデルもあります。しかし、どんなレズリーファンも、レズリーモデルの145、147および122が、まさにその音を備えていると言うでしょう。3つのモデルはすべて同じ基礎的な仕様を共有します。40ワットのモノラル真空管・アンプ、800ヘルツ16オームのパッシブクロスオーバー、回転するトレブルロータと回転するバスロータの三つです。両方の回転スピーカーは、低速用と高速用のA.C.誘導モータで実現されます。(古いモデルの45、47および22は単一の回転速度であることを除いて、同一です。)

 更に、これらのレズリーモデルは、すべて3コンパートメント・キャビネットを持っています。トップのコンパートメントは高音用の回転ホーンを格納します。中間コンパートメントは、トレブルドライバとバススピーカ、クロスオーバを格納し、また、バススピーカ用のバスレフの筐体の役目をしています。そして下のコンパートメントは、バスロータとアンプを格納しています。上と下のコンパートメントにあるルーバは、高音と低音をそれぞれ放出します。上記のすべてのスピーカは、実質的にその使用と音質において同一です。(より大きなモデルである147と122は、より豊かな低音を持っているといわれています。)高音用と低音用のスピーカは、静止したドライバと回転するプロジェクタで構成され、同じ原理で動作します。

「トレブルロータ」
 レズリーの高音ユニットによって、レズリーサウンドの大部分は生成されます。何人かのオルガン奏者は、バスロータのスピード変化に対するスローなレスポンスは、混乱のもとで、ベースラインを弾くときには、バスロータドライブを切断します。トレブルユニットは、図1に示すように固定された3/4インチの径を持つJensenコンプレッションドライバが、垂直のチューブに接続され、チューブがスラストベアリングの役目を果たします。一対のベルの形に成型された黒いベークライトのホーン、これは、ドライバ部分は垂直でその後、水平に広がり、ベアリング・チューブの上に位置します。そして、2スピードのA.C.誘導モータに接続された三つのドライブプーリのいずれか(を選択可能)によって回転します。このモータは、トレブルホーンをドライブベルトとベルトテンションスプリングによって、高速または低速でドライブします。直流が高速用のモータに与えられることによって、速やかに回転を抑えるようになっています。これは、D.C.ブレーキと呼ばれています。トレブルホーンは、二つのホーンから構成しているように見えますが、実際には、片方だけがホーンの役目を果たしています。もう一方のダミーは、バランスをとるためのおもりとして作用し、高回転時には、対称な空気抵抗を生み出しています。その結果、がたがたと偏心的にゆれることなく、滑らかに回転します。

 ホーンの先端には、デフューザコーンが付いています。デフューザは、ホーンからの音の分散を広げ、より音楽的に望ましい音を作ります。また、実際、そのように動作します。図2と図3は、デフレクタがある場合とない場合の典型的なレズリーホーンの全方向レスポンスチャートです。その結果は、見ても分かるように劇的です。図2に示したデフューザなしの場合には、ホーンの方向に多くの音が集中し、ホーンの方向から外れると音はあまり出ていません。図3に示したデフューザありの場合には、ほぼ全方向に音が出ており、ホーンの角度にゆるいカーブがあります。ホーンが回転するにしたがって、何回か高くなり低くなります。この効果によって、音はさらに特徴のあるものとなります。

 ホーンがカバーする角度は、ホーンの正面から-6dBのポイントまでのように図から読み取れます。図4および図5は、いくつもの3オクターブのカーブから編集したカバーの角度を示しています。デフレクタなしの場合に、音の幅がどんどん狭くなる点に着目してください。これは、デフレクタがない場合には、ホーンの方向にホットな音が出て、それ以外の方向ではソフトな音になることを意味します。したがって、多くのロックンローラが言うように、レズリーの振幅変調はシビアでむらのある感じとなります。クラブに置かれている多くのレズリーは、後ろ前に向けられていてトップとボトムのリアパネルとデフューザは取り外されています。これは、音の通りを良くするためです。つまり、ギタリスト越しでも良く聞こえるという効果を狙っています。

  この発散プロセスは、図6と図7に示すように、University ID-40ドライバ(水準を満たした、典型的な3/4インチのPAユニット)をレズリーホーンに接続した時の周波数特性を見ても分かるように、ドライバが何であってもホーンの方向の感度を上げます。リフレクタを付けない場合には、1.5KHz以上の周波数において感度が若干上がります。また、ローエンドから800Hz、さらに1.5KHzまでのレスポンスは、リフレクタをはずしたことによる影響を受けません。400Hzから10KHzまでのレンジでレスポンスは±5dBです。このレンジは、スタジオに設置されたリアルタイムアナライザとイコライザによって、もっとフラットにすることができます。

 さて、このすべての議論は、反射のない高度に音を吸収する環境で計測されたトレブルホーンの情報に基づいています。現実には、ホーンは、ルーバを持った木製のキャビネットに入れられており、計測データは、キャビネット内部の反射によって幾分変化することになります。デフューザコーンは、もうひとつ別の重要な役割があります。それは、ホーンの音源の位置を見かけ上(聴覚上)ずらすということです。コーンが付いていると、音は、ホーンの口の部分から出てくるようになります。しかし、コーンが付いていないと、音が高くなるほど、音はホーンの喉の位置から出てくるようになります。したがって、この場合には、小さな半径で音が回転することになるので、周波数変調は少なくなります。(もし、音源が回転の軸の位置になってしまうと、周波数変調はいっさいないことになります。)ここで、チョイスが生まれます。デフレクタを付けたままにしておけば、最大の周波数変調と比較的小さな振幅変調を得ることになります。これは、ホーンの指向性があまりないためです。しかし、デフレクタを取ってしまうと、周波数変調はほとんどなくなる変わりに、特に高い周波数域において強い振幅変調を得ることができます。なぜなら、ホーンの指向性がかなり狭まるからです。私の耳で聞く限り、デフレクタは取ってはいけないと思いますが、選択することとそれによって何らかのチャンスを得ることは、あなた自身に任されています。

バスロータ
 レズリーの下のコンパートメントには、垂直のシャフトにマウントされた木製の回転ドラムが格納されています。このドラムは、黒いスクリム布で覆われていて、ドラムの高回転時には、空気のかくはんを抑える役目をします。(図8)これは確かに効果があります。ドラムの中心はシャベル(Scoop)状の形状につながれたシリンダとなっていて、トレブルユニットと同じようにスピーカとは垂直方向で接続され(バスドライバは下向きに置かれ、ホーンのシリンダ部とつながります)、次第に水平へと移行します。音の出口は水平です。ドラムアセンブリは、2スピードのモータによって駆動されトレブルユニットと最終的には、ほぼ同じスピードで回転します。唯一の違いは、ドラムの慣性によって、トレブルロータよりもはるかに長い時間がかかって最終速度に到達するということです。回転スピードが、高速から低速にスイッチされた時には、ブレーキの役目をする直流電源がファスト用のモータに与えられます。このメカニズムは、いくぶんかの効果があります。

 私の耳と推論から判断すると、バスロータは、振幅変調だけを行うデバイスであり、バスセクションの上位の約2オクターブ(200Hzから800Hz)が振幅変調の影響を受けます。200Hz以下の周波数においては、この大きさのシャベル状形態からの影響をたぶん受けないでしょう。これは、200Hzの波長は約5.5フィート(1.5M強)だからです。クロスオーバポイントである800Hz付近では、若干の周波数変調も起きていると思われますが、私の耳には振幅変調にしか聞こえません。結果として得られるのは、低周波の鼓動です。これは、スローかコレールの時に、大変心地よく、力強く、さらに美しくもあります。

完全なレズリーシステム
 ひとつの箱に、これらすべての回転するコンポーネントをインストールすることによって、システムとして次のように動作します。電気的な信号は、オクターブごとに12dbをドライブするレズリーのアンプに送られます。さらに信号は、16Ωのクロスオーバを通過し、16Ωのバスドライバとトレブルドライバに送られます。これらのドライバは、適切な周波数レンジを持っています。(図9)入力信号、モータ制御信号、交流の電圧(115 V、60 Hz)は、レズリーケーブルに接続された特殊なプラグとソケットによってレズリーに接続されます。このケーブルが、レズリーを使いたいと思った多くの人々を悩ませてきました。通常の自己完結したスピーカシステムは、部屋のコンセントにそのまま挿せるACコードと汎用的な入力ジャックを持っています。しかし、レズリーは、専用のレズリーコードが必要で、これは、レズリーファンが必ず持たなければならないものです。

 アンプ・シャシーは、6550の真空管(楽器用の出力管としてはすばらしいものです。)を備えた40ワットのアンプとモータ制御用の回路を格納しています。それぞれのロータは、パッケージにマウントされた低速用と高速用の二つの独立したモータによってドライブされます。したがって、合計4つのロータ用モータと配線がアンプ・シャーシに接続されています。もし、これらのいづれからの配線がはずされACコンセントに差し込まれたら、問題なくかつ安全に、接続されたモータが回転します。なぜなら、これは、レズリーのモータコントローラが行っていること、そのものだからです。

 アンプへの入力は6ピンプラグによって行われます。スピーカとコネクタは、大変珍しい2ピンのコネクタによって接続されていて、このコネクタは、レズリー以外では見られないものです。しかし、このコネクタは、長い間、信頼性を損なうことなく動作するように思われます。

標準のレズリーを使って音を出す
 以下のシーンを思い浮かべてください。あなたは、中古のレズリーをたった今購入しました。GIGのスケジュールにも間に合うという良い取引でした。車にレズリーを積み込み、現地に着き、Farfisaオルガンのセットアップも完了し、そして、レズリーの唯一の接続コネクタである、この醜く黒い6ピンのHarvey-Hubbleプラグを見つめます。あなたの1/4インチのホーンプラグは、ぶらぶらとあなたの手に握られたままで、使用できず、どうすることもできません。手持ち無沙汰なレズリーは、あなたを冷たい視線でにらみ返しています。あなたは、コンセントにレズリーを挿して、真空管に灯をともすことさえできません。

コーラスの中断・・・恐怖!

 さて、これは現実的な問題です。しかし、ここにどうすれば良いかを公表します。

 もし、あなたのいるスタジオがHammond B-3かC-3とレズリーを持っていれば、レズリーのモデルは、たぶん、モデル22か122でしょう。これは、オルガンと独立してレズリーを動作させたり、コンセントにレズリーをつなげることはできませんが、静かで、信頼性がある、問題のないシステムです。B-3やC-3などの最も大きなHammondは、レズリープラグを持っています。でも、以下のことに注意してください。Hammondオルガンには、モデル122、22、122RVだけをつなぐようにしてください。レズリーコードを使用して、モデル147や145レズリーをHammondにつなげては、決していけません。これをやると、回路を吹っ飛ばしてしまいます。オルガンの内部の、エクスプレッションペダルコントロールユニットにうまく合うようにRCAフォノジャックを介して、簡単なコネクタとして利用することができます。このジャックは、オルガンの後ろのカバーをはずすだけで見つかり、単にプラグを差し込むだけで使用できます。これは、ラインレベルの入力であり、ハイインピーダンスの信号を受け付けるようになっています。

 レズリーに対するアクセサリで重宝するのは、レズリー・コンボ・プリアンプでしょう。
これは、楽器の信号を要求されるレベルまでブーストし、レズリーアンプ、モータにAC電源を供給し、フットスイッチでスピードを変えることができます。また、ACコードを使ってコンセントに差し込むことができ、ほとんどの楽器に1/4インチフォーンジャックを使って簡単に接続することができます。また、標準のレズリーコードを使用してレズリーにプリアンプを接続することができます。

 標準のレズリー147あるいは145から自分用に特別にカスタマイズされたシステムがほしくなるかも知れません。そして、たぶん、改造したくなるかもしれませんね。これについては、後ほど説明します。パワーアンプ周りのいかなる改造も、特別な注意を払って行わなければなりません。レズリースピーカは、真空管アンプを使用しており、直流400Vのパワーサプライを持っています。もし、あなたがプレイヤーであれば、このようなショックによって、ひらめきがあるかもしれませんが、私はお勧めしません。あなたの指が触れる部分に何があるのかを、いつも注意してください。
訳注:生命の危険さえありますので、良い子はやらないでくださいね。

 一度、レズリーコードを買うなどして、レズリーアンプにコンパチな6ピンのプラグのありかさえ分かってしまえば、自分のレズリーをいじるというのは、実際には単純なことです。ピン1はシグナルグランドで、ピン6はシグナル“Hot”です。2.5KΩ以下のインピーダンスに対して、6V以上を供給できるソースであれば、コンソールのロードレジスタスイッチ(console load resistor switch)をオープンにすることでレズリーアンプをフルパワーでドライブできます。また、このスイッチは、8オーム10ワットまたは16オーム10ワットと同等な抵抗を挿入します。ということは、レベルの調整が適切であれば、10ワットのパワーアンプをレズリーをドライブするために使用できるということです。これは、パワーアンプを持っている多くのオルガンの典型的なセットアップです。Fender Champなどの小さなギターアンプでうまく動くはずです。ギターアンプのスピーカははずしておいてください。そして、スイッチは8オームに設定してください。大きな出力のパワーアンプでは、決してやらないこと。レズリーを鳴らすことは、できるのですが、入力側のレジスタが燃えた後に、いやなにおいがしてきます。

 入力(115Vの交流)は、ピン3とピン4を使用して、供給されます。ピン2とピン5は、トレモロ・リレー用の115VのACコイルに接続されます。これは、FASTの時にはOFFになり、SLOWの時にはオンになります。したがってピン2とピン3そしてピン4とピン5に接続されたDPST(Single Pole, Double Throw )スイッチが、リレーを動作させます。もし、FASTだけで良いのであれば、ピン2とピン5については忘れてかまいません。(簡単な方法としては、ピン4とピン5は所定の接続を行い、単純なDPSTスイッチを使うということでしょう。)

レズリーの改造
 ええ、そうです。巷には音があふれています。レズリーを通した歌声や、積み上げられたマーシャルからの音を再生するレズリー、Hi-Fiレズリーなどを想像してみてください。要望の壮大さに応じた出費を覚悟すれば、これらや、もっと多くのことがあなたのものになります。自分自身でやりたくなければ、もっと多くのお金を払う必要がありますが。(米国では、レズリーのスピードショップが多くあり、おそらくこの記事が出版されれば、さらに50%その数が増すと思われます。)Electro Musicは、Fender風の二つのアンプを持ったビニールキャビネットのレズリーを作っていますが、これらは高価であり、最高出力が60ワットのアンプしかついてきません。あなたは、今の美しいウォールナットの外観を維持したまま、パフォーマンスだけを上げたいと思っているかもしれませんね。もし、そうであれば、ここにそのやり方があります。

外部モノアンプの使用
  標準の145、147及び122モデルは、すばらしい40ワットの真空管アンプを持っています。本気になれば、今までに聞いたことのない温かみのあるリッチなディストーションを伴い、音はさらにすばらしくなります。Las Vegasのサーカス・サーカスのショーオルガニストは、この種のサウンドとしては今まで聴いた中で一番良い音を出しています。彼は、Hammond B-3をフルボリュームで弾き続けます。しかし、ライブバンドやクラブ、さらにコンサートにおいては、40ワットのレズリーアンプでは、たとえキーボードだけしかいないとしても十分ではありません。最近のコンサートのサウンドテクニックの進歩は、静かな楽器にマイクを付けて、ミキサー・コンソールで簡単にボリュームを上げることができます。キースエマーソンや他のミュージシャンも、コンサートでは、マイクが付いたレズリーをバックステージの隔離された部屋に置いて使用していると言っています。(Bruce SpringsteenのキーボドプレイヤーのDanny Federiciもこの中に含まれます)この結果として、ステージ上の他の楽器の音を含まないクリーンなレズリーサウンドを得ることができます。しかし、多くの場合には、プレイヤーは、ステージ上の楽器からの直接的な音を好むようです。

 レズリーのサウンドを増強する最も簡単な方法は、4本の真空管を引き抜いて、さらにヒューズをはずすなどしてビルトインのアンプを無効にして、前述のプリアンプやアダプタによって、モータだけを使用することです。そして、スピーカシステムを、あなたが使いたいアンプにつなげます。これは、標準のレズリーアンプからクロスオーバを切り離し、それを適当な入力ソケットにつなぐことによって行います。1/4インチのフォーンジャックや最適ですが、あまりみかけない標準バナナプラグやGRプラグが良いでしょう。もっと、使えるのが、1/4インチジャックが挿された時にクロスオーバをレズリーアンプから切断し、抜けているときにはレズリーアンプに接続するというものです。残る問題は、レズリースピーカシステム(トレブルドライバ、バスドライバ、クロスオーバ)の入力に対する耐性だけとなります。これらについては、後述します。

トレブルドライバの改造

  標準のレズリーのトレブルドライバは、とても壊れやすく、標準の40ワットのアンプで簡単にオーバロード状態にすることができます。ローレベルでドライブしたいという特別な理由がなければ、新しいドライバを検討してください。ドライバの選択は、重要で、最も高価なドライバが一番良いというわけではありません。Altec、JBL、Electro-Voiceなどの最も高価なドライバは、再生周波数の10から20KHzにおいて使用可能ですが、レズリー用としては、このような高いパフォーマンスは必要ないと言われています。実際、高い周波数の倍音は、抑止されていますし。

 拡張されたバンド幅を持つ高音用のドライバーも、やはり壊れやすいです。Hammond B-3のパーカッションは、最大時に厚さ0.002インチのアルミの振動版をドライバのフェーズプラグに押しやります。この時点において、ミュージシャンは、好きなソロの途中か、録音の真っ只中です。また、これらのドライバは、口径が大きく(直径で1.4から2.0インチ)、レズリートレブルホーンの口径は3/4インチです。したがって、3/4インチの口径を持つUniversity、Electro-Voice、AtlasなどのPAドライバが理想的です。

 そのようなドライバーは比較的安価で、5Kまたは6KHzくらいまで楽に再生し、大きな入力に耐えることができます。また、標準のレスリードライバと非常に良く似た周波数特性を持っています。これは、同じ音の品質を維持できることを意味します。実際、トレブルドライバを交換することによって、高負荷時の標準のレズリーの信頼性を高めることができます。私の好みは、Electro-Voice 1829ドライバです。これは、16オームのユニットなのでクロスオーバとの相性も良いです。私は、このドライバをBogan MO-100Aという100ワットの真空管アンプで何年もガンガン鳴らしていますが、故障もなく、心地よいサウンドを提供してくれています。E-V 1829ドライバの堅牢製と高出力の耐性は、多くの人が感じています。

 レズリードライバーの交換をするためには、まず、ドライバとホーンにアクセスできるように、上と中間の裏蓋をキャビネットからはずします。図10に示すような特別なアダプタがPAドライバをレズリーホーンに取り付けるために必要です。

バスドライバーの改造
 標準のレズリーのバスドライバは、約50ワットの出力を持つ15インチのOEMのスピーカーです。30Hzのペダルトーンを40ワットで鳴らすと、けっこう振動します。ドライバの振幅の限界に近づくことは、それほど難しいことではありませんが、ドライバはかなり頑丈です。確かに、標準の使い方で壊れたという話を聞いたことがありますが。もし、キーボードだけがレズリーにつながれ(ベースが極端に多用されるということがなければ)、ローエンドをフィルターで除去することによって守っていれば、温度限界に達するまで使用できるかもしれません。バスドライバが壊れることを避けるのであれば、より高い負荷に耐えるユニットに交換するのが一番簡単な解決法です。スピーカの選択は、あなた次第です。趣味の問題であって、私は特に推薦するものはありません。18インチのスピーカは、次の変更を行うことによって取り付けることができます。コーンがバッフルにあたらないように、スペーサリングをスピーカとレズリーのバッフルの間に入れます。そして、より大きな18インチスピーカのフレームを収容するために、バックパネルの一部を削る必要があるかもしれません。

クロスオーバーの改造
 標準のレズリーのクロスオーバーは、オクターブあたり12dBで、800Hzのユニットは、バスドライバ、トレブルドライバ、両方のインピーダンスに16オームを要求します。ほとんどの15インチのウーファのインピーダンスは、8オームであり、800Hzより少し高いところでレスポンスが良くなる傾向があります。このことによって問題は何も起こらないはずですが、8オームの高音用ドライバの場合には、800Hzより少し下がってしまうために、スピーカが振れ過ぎてしまうという問題を起こします。この問題を解決するためには、16オームのスピーカを購入するか、以下の改造が必要です。

 もし、レズリーで8オームの高音用と低音用のドライバコンポーネントを使用したいのであれば、JBL、Altecなどのメーカから、標準の800Hzのクロスオーバを購入することができます。Community Light & Soundは、とても良いクロスオーバを持っています。これは、8オームのバススピーカと16オームのトレブルスピーカ(アッテネーションパッドを使用しない場合)で使用します。このクロスオーバは、200ワット RMS以上の性能があり、エアコア(aircore)コイルとマイラコンデンサから構成されます。HiFiのクロスオーバであることに加えて、超パワフルなシステムで使用する際のすばらしい選択となります。オーディオの参考書などにある回路図を参考にして、あなた専用のクロスオーバを設計して製作することももちろん可能です。

 最上で、最も使い回しができて、最も適合性のある解決方は、レズリーのアンプを二重化することです。これは、アートですね? Crown VFX-2とステレオパワーアンプが実験用としては、すばらしいセットアップになるでしょう。

 最後に、直列のコンデンサ(a single series capacitor)から構成されるクロスオーバネットワークの可能性について説明します。(8オームユニットには20マイクロファラッド、16オームユニットには10マイクロファラッド)これは、バススピーカに対してはフルレンジのサウンドを提供し、1KHz以上の高音域についてはオクターブ当り6dBのロールオフを伴ってトレブルスピーカに供給します。このようなクロスオーバネットワークは、成功裡に使用されており、とても興味深い心地よいサウンドを再生しています。

マイクロホンを装備した標準レズリー
 この技術は、ライブの世界では、非常にうまく使用されてきました。二つのエレクトレットコンデンサマイクを、対角線上にレスリーのトレブルホーンコンポーネントに固定します。これらのマイクの出力は、イコライザを持った外部のステレオミキサに接続されます。レズリーキャビネットにマイク用のコネクタが付けてあるのが理想です。そして、ミキサに接続されたステレオパワーアンプと、これにつながれた二つのスピーカがステージの両端に置かれます。もし、ステレオPAが使用できるのであれば、マイクの出力は別々のチャンネルに入力して左右にパンしてください。そして、何よりも、良いセンスのイコライジングと一般的なテクニックがよい音を出すためには必要です。しかし、悪いセンスも時として良い効果をもたらすかも知れません。両方をトライして下さい。

 ホーンから発生するウィンドウノイズは、問題にはなりません。最低限、機械的に分離してある必要はありますが。ウィンドウノイズが少ない場合には、たぶん、キャビネットのコーナで空気がよどんでいるためだと思われます。大きなウィンドウノイズがある場合には、オープンセル・ウィンドウスクリーンを使用することによって減少させることができます。

 このマイキングテクニックは、ロワーロータについても有効です。上と下のマイクの音をミックスして再生することができます。また、トレブルロータだけでも、ライブ環境では有効ですが、スタジオにおいても同様に効果があります。

タンデムロータ
 ロワーロータの加速は、時によっては遅すぎるかもしれません。もちろん、個人の趣味の範囲ですが。よりドラマティックなレズリーサウンドを得るために、トレブルロータとロワーロータを機械的に接続して、同期して回転するようにし、それぞれのロータの口が同じ方向を向くようにしたものがあります。Silver Sound Systems (337 South Morris Avenue, Crum Lynn, Pennsylvania)は、図11に示すタンデムロータを持つシステムを開発しました。これは、また、非常に良くできたカスタムレズリーの一例でもあります。このシステムは、バスユニットに対してはフルレンジの音域を送り込み、トレブルロータには高音だけを送りこむことによってレズリーの動作をさらに高めます。このカスタムユニットは、エレキギター奏者のために設計されました。

モータ速度の変更
 ロータスピードを変更する有効な方法は、トレブル用のモータのベルトがつながれているプーリを別のプーリに架け替えることです。(簡単でしょ?)実際、そのために複数のプーリの輪がありますし、オーナがそれを行うことになっています。私自身の好みは、真ん中のプーリを使用した音です。
訳注:通常プーリーは三つあります。

 レズリーのモータ回転速度を変更する多くのコントローラがありますが、いづれも成功したとは言えません。なぜなら、それらのほとんどは、モータに供給される電圧を下げるタイプだからです。その結果として、通常モータは、より多くの電流を必要とし、焼きついてしまいます。これらについては、細心の注意を払ってください。レズリーモータは、交流、インダクションタイプのモータで、ブラシを持っていません。したがって、半永久的に使用できます。しかし、その回転スピードは、60Hzの電源に依存しています。これは、テープレコーダなどと同じです。筋が通る唯一の解答は、115Vの可変オシレータを使用して周波数を変更することです。このオシレータは、発生器と115Vの出力を持つ真空管アンプから作ることができます。しかし、中間的な回転数は、いい音がでないので、やっても無駄だと聞いています。

スタジオでの経験

 何でも同じですが、レズリーのレコーディングは、趣味と目的の問題です。Hammond B-3とレズリーの組み合わせで、最高の音を録音したいと思うかもしれませんし、さらにそのサウンドを良くしたいと思うかもしれません。そして、それらの機材をエコーユニットのようにSENDまたはRECEIVEユニットとして使いたいと思うかもしれませんし、例えば、レズリーに音を送り込むとか、モノやステレオのマイクで音を拾いたいと思うかもしれません。スタジオの中に持ち込もうとすれば、それも可能ですし、ミキシング用に、例えば、浴室などの残響のある部屋に持ち込みたいとか、ライブで使いたいとかが考えられます。可能性は、創造性と狂気によってのみ制限されます。以下は、標準的なテクニックとその説明です。

モノラル録音
 私は、マイクをひとつだけ使用して、トレブルホーンから1フィートに接近した状態でレズリーの録音を行い、良好な結果を得ました。もし、マイクを数インチの位置にさらに近づけたとすれば、シビアな振幅変調に悩まされ、ロータが高回転時に生み出すウィンドウノイズは、部屋の中にヘリコプタを置いたような状態になったでしょう。これは、ほしかった音ではないはずです。同じことが、バスロータにも言えます。マイクが近すぎれば、多くのメカニカルノイズを拾うことになります。ロータに巻いてある布がたるんでいる場合には、本当にうるさいですから、たるまないようにしなければなりません。両方のロータからの音はルーバを通すことによってメロウな音となります。後ろのパネルをはずしてマイクをそこに向けた場合には、音はよりダイレクトで輪郭を持ったものとなります。

ステレオおよびマルチマイクの録音
 二つのマイクをキャビネットの上部と下部にそれぞれ設置するという方法は、振幅変調を十分意識した上で使用すれば、良いサウンドを得るための効果的な方法のひとつですが、私が知っているレズリーを録音する最も良い方法は、ステレオ録音です。トップとボトム、右と左に合計4本のマイクを立て、左は左、右は右でミキシングして使う方法か、一本のマイクで中央にパンして使う方法です。2本のマイクを使用して最も左と最も右にパンした場合には、エキサイティングな結果を得ることができます。いろいろな組合せが可能ですが、レズリーは、空間的な情報を提供できる能力があるということがポイントになります。

 このような録音技術に関して詳しい数人のエンジニアと話し、ここにいくつかの彼らが行った選択について紹介します。

Jay Mark (Sigma sound, New York)   ジェイ・マーク(シグマサウンド、ニューヨーク)は、オルガンの録音をするときに、レズリーサウンドの「タイト」または「ダイレクト」なところが気に入っているそうです。この理由は、オルガンは、バックグラウンドであり、前面に出る使い方はしないということに起因しています。タイトなサウンドは、たとえ、ミックスダウンにおいても、オルガンサウンドをクリアなものにし、明白なものにするために必要です。ジェイは、次のセットアップで好結果を得ています。RCA 77DX リボンを上部ロータキャビネットの後ろに(約8インチ、トレブルホーンから離して)設置します。ハイエンドのロールオフを合わせます。(with the high-end rolled of to suit)また、下部のロータの後ろ側に、低いロールオフ(with the lows rolled off)でU87を設置し、トップのマイクとミキシングします。彼は、トップとボトムの音を左右にふる実験をしましたが、結果は好きではなかったようです。

Allen Sides (Ocean Way Recording, Hollywood)   アレン サイズ(オーシャンウェイレコーディング ハリウッド)は、U67を二本使い、レズリーから5フィート離して設置します。それぞれのマイクは、10フィート離して設置し、トップとボトムロータの両方をカバーする位置に置きます。マイクは、左右にパンされ、二つの別のトラックに録音します。アレンは、高音域の歪みを強調しないために、ハイエンドにおいて自然なロールオフが好みです。彼は、ビリー・プレストンの録音のことを話してくれました。彼は、フェンダーローズを演奏したのですが、ステレオビブラートを使用し、それぞれのチャネルを二つのレズリーに送り、音を出しました。

Joe McSorely (Veritable Recording, Ardmore, Pennsylvania)  ジョーマクソリー(バリタブルレコーディング、アードモア、ペンシルベニア)は、2本のU87を、トップとボトムのキャビネットに対して相対的に近い位置に置くのが好きでした。「タイト」なオルガンサウンドのために、下部ロータから音は低音をロール(rolls of the lows)しますが、上部はフラットのままです。ジョーは、何回もおきた問題として、マイクが近すぎればウィンドノイズが増すので、常にウィンドスクリーンを使っていたと言っています。彼は次のように言っています。バリタブルにおいて、ほとんどのオルガン(レズリー)の録音は、1トラックだけで行われました。しかし、そのトラックを片方にパンし、ダブリングモードでハーモナイザを使用し、その音を次のトラックに入れ、反対方向にパンします。このようにして、偉大な「偽物のステレオ」ミックスダウン効果を得た訳です。ジョーは結果として得られた音を「奇怪な」音と評しています。

いくつかの変わった試み
 ボトムロータにフルレンジの15インチスピーカを接続し、ここにフルレンジの信号を入力すると面白い音を得ることができます。やり方は、明白ですよね。大きなロータによる遅い回転の上がり下がりは、周波数的には同じにもかかわらず、トレブルロータとはまったく異なります。試してみてください。

 ここにもうひとつのアイテムがあります。ある種の古いレズリーキャビネットには、木材か、たぶん、ルーバの部分で構造的な共振があります。しかし、これは、現実的なものです。古い木は、単純によく共振し、ハモンドのパーカッションノートがそれを引き立てます。(これは、ギタリストが、56年製のFender Stratを探して南カルフォルニア中の質屋を探し回るのと似ています。)私は、伝統的なサウンドのレズリーと普通のレズリーの両方をレコードで聴きました。新しいレズリーと古いレズリーのルーバを、こんこんと叩いて見て、私がおかしなことを言っているかを確かめてください。とにかく、ポイントは、FRAPピックアップをレズリーに付けてみてくださいということです。木材からより多くの音を引き出せるかどうかを実験してください。

ノーマル・レズリーを使用したいくつかの例
 通常のレズリーは、Hammond B-3かC-3オルガンに接続されています。通常は、前者ですね。レコーディングセッションにおいては、他のブランドのオルガンもレズリーを使用して演奏されています。しかし、偉大なロックンロールのSpirit of Americaにおいては、B3とレズリーというシンプルな組合せが使用されています。(Steinwayピアノ、Fenderアンプ、Gibson Lesl Paul、Fender Strat/Telecaster/precision Bass - すべてが同時に使われています。)The Isley Brothersは、レズリーのFASTを、そのヒット曲であるShoutの中で使い続け、Matthew FisherがAmerica SoulとヨーロッパのバッハとB3を取り込んだ時には、B-3の低いドローバでSLOWなレズリーが使い続けられました。そして、Whiter Shade of Paleのゴージャスなオルガンのテーマは、何百万という人が聴きました。Billy Preston、Booker T. Jones、Feix Cavaliereは、レズリーのロータを、タイムリに上げ下げする技術を編み出しました。

 ここに記述されていない人たちも含めて多くの優秀なアーティストたちが、ひとつの音(通常は和音のルート)を押したときに、ドラマティックなロータの回転変化をレズリーに与えました。現在のシンセサイザ・プレイヤは、まだ、こんなエキサイティングなものは見つけ出していません。Lee Michaelsは、B3、レズリーとドラマーであるFrostyだけでいくつもヒットを飛ばし、長い間ツアーを続けました。力のあるプレイヤは、レズリーに語らせ、叫ばせ、あなたをダンスに駆り立て・・・(リストは永遠に続きます)、することができます。

・・・そして、逸脱したレズリーの使用(また誤用)
 SteppenwolfのオルガニストであるGoldie McJohnは、標準のレズリーをうまく使って、驚くべき音を出しました。彼は、標準のバススピーカを直接標準のアンプに接続してボリューム10で演奏しました。(実際、そのサウンドは、ボリューム11を得たように聞こえました。)クラシックトラックであるBorn To Be Wildにおいて、その音をクリアに聞くことができます。オルガンソロは、大きくオーバドライブされたレズリーアンプの壮麗なディストーションを聞くことができます。また、大きなバスロータがゆっくりとスピードアップし、スピードダウンするのを聞くこともできます。私は、Steppenwolfのライブを今はないPhiladelphiaのElectric Factoryで聴きました。Goldieは、ステージで同じセットを使用していて、彼はレズリーを彼の近くに積み上げ、そのひとつにマイクを付けてPAを使用して拡声していました。

 Jethro TullのBenefitというアルバムは、ある人たちにとって、レズリー処理のプロトタイプであると考えられています。そのLPにあるTeacherは、その典型です。Ian Andersonは、フルートとボーカルをレズリーで再生しました。ギタリストのMartin Barreも同じ手法を使いました。これらは、ディストーションとは無縁で、クリーンなレズリーの使い方の良い例となっています。私は、これらは、クラシックにおいて重要なため、これらのレコードについてもっと知っていたらと思っています。

レズリーを使用したギター
 多くのギタリストは、ギターの音を変えるためにレズリーを使用しました。変わっていて同時に成功した例として、PocoのRusty Youngをあげることができます。Rustyは、スチールギターをレズリーに通すことによって、Pocoにおいてすばらしいサウンドを生み出しました。効果は、非常に特色のあるもので、魅力的なものでした。Playerの最近のヒットであるBaby Come Back、J. GeilsのThe Usal Placeにおけるソウルフルなイントロなどは、典型的ですが、傑出したレズリーギターの例でしょう。あなた自身のリストには、その他多くのプレイヤがリストアップされていると思います。

個人的な狂気の世界
 私は、Norelco Dictating Machine(口述録音機)を使って、この記事を作っています。この機械は、コイルコードの先にスピーカとしても使えるマイクロフォンが付いています。レコーダのボタンを押すことによって、内容をマイクから再生することができます。マイクロフォンのコードをつかんで、円を描くように振り回します。そうすると、この記事が、奇妙でミステリアスなレズリーのような効果を伴って再生されます。それは、大丈夫ですよ・・・あっ、いや、私は大丈夫です。これは、あなたが気づいているように、レズリーと同じですよね。

謝辞
 Ralph Brownlowe、Robert Rankin、Ed Sciaky(WIOQ, Philadelphia)は、この記事の執筆にあたって、貴重で価値のある情報を提供してくれました。

[Gary BrookerがProcol HarumのオルガニストでありWhiter Shade of Paleを演奏したというオリジナルの著者による記述がありましたが、それは、Matthew Fisherの誤りです。この記事において修正し、著者にも伝えられました。]

訳注:AnimalsのThe House of the Rising Sunの録音ではB-3ではなく、VOX CONTINENTALが使われ、Procol HarumのWhiter Shade of Paleの録音ではM-102が使用されたというのが真実のようです。