■ 2001年12月30日
年末の休みにインターネットで遊んでいたら、米国のO社のサイトでHammond
M-3が$395というのを発見しました。以前から米国でのハモンドの値段が安いと言うのは知っていましたが、これほどとは思いませんでした。
M-3といえば、1955年から1964年まで製造された、れっきとしたトーンホイールハモンドです。約400ドルということは、$1が130円として52000円です。
鍵盤付きのどのクローンの実売価格より安いのは間違いありません。
なお、M-3は、以下の特徴を持っています。
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スピネットタイプで、内蔵パワーアンプとスピーカを持っています。メカニカルトーンホイールジェネレータを持っていて、プリセットはありません。
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製造は、1955年から1964年まで
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キャビネットは、マホガニーとブロンド・メイプルがあります。
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上下のマニュアルとも44鍵で、L-100のようにオフセットしています。ペダルは、12鍵ですから上のCがありません。
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上鍵盤のドローバが9本、下鍵盤用が8本、ペダル用が1本です。パーカッションは、オン/オフ、ソフト/ノーマル、3rd/2nd、Slow/Fastがコントロールでき、ビブラートは上鍵盤のオン/オフ、下鍵盤のオン/オフ、コーラス/ビブラート、深さがコントロールできます。丸いノブはなくて、ロッカースイッチによる二段階です。
- なお、ビブラートはB-3と同じスキャナー方式です。
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パワーアンプは11Wで、30センチスピーカがひとつ付いています。
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ホールドバックは、ありません。フォールドバックがないということは、キーを押しても、高い音や低い音が出ないドローバーがあるということです。
フォールバックについては、バスバーさえ長ければ、自分で改造して付けることができますが、ものすごく根気の要る作業です。
値段も適当だし、トーンホイールなので、なんとなく興味がわいてきました。
とりあえず、メールで問い合わせることにしました。
質問した内容は以下の、5点です。
WEBページにある$395のM-3について質問があります。
- 外観以外に問題となる箇所があるか?
- オルガンは店にあるのか、それとも誰かがまだ持っているのか?
- オルガンを日本に輸出した経験があるか?
- オルガンを日本に売ることができるか?
できるとすれば、輸送費の概算を教えてほしい。
- オルガンの写真の下鍵盤の右にあるレバーは何か?
オリジナルのM-3は、持っていないものだが。
ちなみに、私が見た写真は、次のものです。
■ 2001年12月31日
メールの返事が到着しました。こういうときは、米国に大晦日や正月休みがないのは便利です。以下は、その回答です。
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すべての音がちゃんと出て、ドローバーもスムーズに動きます。ペダルの音は、(私が思うには)、他と比べると少しソフトです。
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オルガンは店が所有していて、店にあります。
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日本には輸出したことはありません。スイスならありますが。
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お客さんがコストを払ってくれるのであれば、何であろうと、どこへでも売りますよ。日本には、こういう楽器がないんですか?
4年前にB-3とレスリーをスイスのジュネーブに販売したけど、船便で数ヶ月かけて運んで$250くらいでした。日本については、いくらか分かりません。
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レバーは、ELECTRO-TONEというもので、私も見るのが初めてです。これは、プリセットとして働き、後付されたものです。
店のある米国のエリアでは、M-3は、音的にはB-3に似ていますが、$300から$500の値段で取引されています。云々となっていました。
なお、外観を写した写真が必要であれば送るとなっていました。
送られてきた、ELECTRO-TONEの写真は、下のものです。ある程度の数のM-3に後付けで、付いていたようです。邪魔にはならないけど、必要とも思えません。
■ 2001年12月31日
外観の写真を送ってもらいたい旨のメールを送ります。また、以下のいくつかの質問もしてみることにします。
- レスリーのコネクタはついていますか?
もしついていないのであれば、つけてもらえますか?
また、その場合にいくらくらいかかるのでしょうか?
- 内部スピーカのオンオフスイッチをつけることができますか?
つけるとしたら、いくらくらいかかりますか?
- 日本の私の地域は、100V、50Hzなのですが、サイクルコンバータを追加できますか?
その値段は、いくらでしょうか?
- M-3のサービスマニュアルが欲しいのですが、購入できますか?
- 他の写真があれば、送ってください。
■ 2001年12月31日
返事がきました。ほとんど時差を感じません。(笑)
しかし、回答はどちらかというと否定的な回答で、要約すると以下のようなことが書いてありました。
ハモンドオルガンとレスリースピーカは別の会社の製品であり、レスリーのコネクタは後付しなければならないこと。
また、これらのパーツは1000ドルくらいになり、しかも、工賃を含めて400ドルのオルガンにつける場合も、5000ドルのオルガンにつける場合でも同じだけかかること。
これらを良く考えて、それでもやる気があるのであれば、連絡をしてほしい。写真は送るので楽しんで欲しい。
確かに$1000という価格を別にすれば、言っていることは正しいです。でも、日本ではB-3と122で180万円もすることは知らないだろうなぁ。私が狙っているのは、B-3ではなくて、
ビブラートスキャナー付のスピネットのM-3で、確かにお金もないし・・・と思いながらも、どうするかをまじめにもう少し考えてみることにしました。
輸送費が、船便とはいえ、$250というのも、なんとなくひっかかります。以前に別の店に聞いたときは、航空便だと思うのですが、$1200といわれていましたから。これについては、後日、その真相が明らかになります。
■ 2002年1月3日
日本への輸出経験がないこと、オルガン自体にかなり目立つ外観上のシミがあったこと、ハモンド専門のショップではなかったこと
(オルガン全体の専門ショップでした。)などの理由で、O社のオルガンはあきらめて、別を当たることに。
次に見つけたのは、Speakeasy
Vintage Music社で、ハモンドやビンテージキーボードを扱うショップです。価格は、$495からとなっていて、以前のO社より高いですが、とりあえず以下の質問をしてみました。
- 外観も含めて何か問題がありますか?
- オルガンは、既にショップにありますか、それともまだオーナ宅でしょうか?
- M-3の写真があれば、送ってください。
- シリアルナンバーを教えてください。
- 以前のオーナについて知っていれば教えてください。
- オルガンを日本に輸出したことがありますか?
- オルガンを日本に輸出しますか? もしするのであれば、概算の輸送費を教えてください。
- 日本から購入する場合の、購入手順を教えてください。
- クレジットカードで支払いできますか?
■ 2002年1月4日
返事がきました。次のように書いてありました。
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M-3については、20台のストックがあります。これらは、リストアされていて、音、ドローバー、コーラス、ビブラートに問題はありません。外観の違いで価格が違います。$495が最低で引っかき傷とへこみがあります。ミントコンディション
は$800です。
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すべてのオルガンは、倉庫にあります。
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すべてのM-3の写真はありません。
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シリアルナンバーも分かりませんが、希望の製造年を言ってもらえれば、教えることができます。
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オーナヒストリについては、千差万別です。ミントであれば、通常ワンオーナであまり弾いていないものです。複数のオーナの手を経たものは、当然バンドなどで使用されたものです。
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Rhodesやパーツを日本に輸出したことはありますが、オルガンについてはありません。
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もちろん日本にも売ります。住所を教えてもらえれば、輸送費をお知らせします。
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最終リストア工程を始める前に前金で30%をいただきます。配送の前に、残りの70%をいただきます。
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マスターカードとビザカードが使えます。
興味があれば、外観のレベルと住所を教えてください。概算の輸送費をお知らせします。
となっていました。
■ 2002年1月4日
次のように返事を書きました。
私は、日本の東京都立川市に住んでいます。輸送費については、空輸と船便について教えてください。外観については、あまりこだわりません。通常の外観の写真を送ってください。
レスリーキットがついたM-3があれば、外観の状態を教えてください。
■ 2002年1月5日
次のような返事がきました。
通常の状態とは、引っかき傷とへこみが少しある状態です。どのモデルのレスリーなのかを教えてください。そうすれば、そのタイプのレスリーキットを持った状態の良いM-3の価格を教えます。
輸送費に関しては、450ポンドを運ぶのにDHLを使うと$2000といわれました。450ポンドとは、オルガンの重量と輸送用の木枠の重量を足したものです。これは、高すぎますね。安い方法をしりませんか?
安い方法を知らないかと言われても、個人輸入などやったことがありませんから、分かりません。ちなみに、DHLは、言ってみれば国際宅配便会社です。空輸が中心で、おそらく一番
短い期間で
物が届きますが、価格もそれなりに高いです。10万円のオルガンに20万円以上かけて急いで運んでもらってもしょうがないので、別の方法を考えることにします。
■ 2002年1月5日
たしか、同僚がアメリカから帰任したときに、引越し荷物を安いので日通に頼んだという話を思い出しました。とりあえず、日通のURL
http://www.nipponexpressusa.com/home.html
と航空便と船便の値段を調べてもらうことと、レスリーは122を使うことにしてメールを打ちました。
それから、Speakeasy Vintage Music社の住所も念のために教えてもらうことにしました。
■
その後、M-3のblonde mapleのキャビネットを在庫に持っていることがわかり、写真を送ってもらいます。
blonde
mapleのM-3は数が少なく、在庫にあるものは程度も良いとのことで価格は$750だそうです。写真で見る限り確かに程度は良さそうです。
■
という感じでメールのやり取りをしていたのですが、M-3に決めようと思っていた時に、A-100の方がやっぱり良いでしょうとSpeakeasy Vintage Music社のAndy
(セールスの人)から言われて、A-100について問合せをしたら、なんともう在庫には1台もないとのこと。新しく、A-100が入ったら教えてもらうことにして、しばらくメールのやり取りは、途絶えました。
■
この間に米国の他の業者のホームページを調べたり問合せをしますが、$2000から$3000の予算に入る程度の良いA-100は見つからず、見つかっても海外への発送はしないなど結局手に入らない状態が続きます。
また、日本の業者にM-3の在庫の有り無しと価格を聞きますが、在庫はないため輸入するしかなく、価格は40万円から50万円くらいになるとのことでした。
■ 2002年10月15日
以前のSpeakeasy Vintage Music社に、再度、A-100が入っていないかと、以前に気に入ったM-3がまだ残っているかを問い合わせしました。
この間に、私とメールのやり取りをしていたSpeakeasy Vintage Music社のAndy氏は、結婚しフロリダに引っ越します。オルガンショップのあるペンシルベニア州からは、遠くはなれてしまったので、エンジニアのSteven氏にメ−ルを
送りました。
また、このころにEbayでblonde mapleのM-3が売りに出されていて、その外観
(blonde mapleは、足の四隅に金色の縁取りがあります。)に一目ぼれしていて、まだ残っていたら買おうという気持ちになってきています。
下の写真が、Ebayに出品されていたblonde mapleのM-3です。なかなかいいでしょう?
こちらから質問した内容は以下の通りです。
A-100の在庫は、はいりましたか?
もしなければ、以前に写真を送ってもらったBlonde Maple M-3がまだありますか?
もし、あれば以下の項目の金額を教えて下さい。
- Blonde Maple M-3オルガン自体
- 50Hz用のサイクルコンバータとインストール費
- 11PINのレスリーコネクターとそのレスリーキット、ハーフムーンスイッチ
- MAIN/ECHOスイッチとそのキット
- 輸送用の木枠と航空便での運送費(輸送は日通を指定します。)
その結果次のようなメールがきました。
オルガンとすべてのイクイップメントの合計は、$1687ドルです。航空便でのドア・ツー・ドアの輸送費
は、約$1750です。
このSteven氏は、エンジニアらしいのですが、以前に倉庫まで行ってM-3の写真を撮ってくれた人で、HAMTECH
MLにも参加している人です。メールアドレスを知っていたので直接メールしてみました。
また、Blonde Maple M-3というのは、M-3のキャビネットの種類です。通常は、濃い茶色のマホガニーなのですが、Blonde
Mapleはどちらかというと白い、メイプルの色のキャビネットです。フェンダーのストラトキャスターの指版の色といえばわかるでしょうか。
M-3自体は米国のどこにでもあるオルガンなのですが、メイプルは販売された数が少なく、なかなか見つかりません。オルガン本体の価格は、$750でM-3としてはほとんどトップクラスです。
価格の内訳を以下に示します。
項目 |
価格(US$) |
M-3 |
750 |
Cycle Converter |
349 |
Cycle Converter取付け |
85 |
Leslie Kit & Main/Echo (取付け込み) |
253 |
木枠組み |
250 |
合計 |
1687 |
■ 2002年10月24日
本体と輸送費の合計で$3000を超えていますが、家が狭くてスピネットタイプ以外は置けそうもありません。A-100は、名残惜しいのですが、重量が200Kg以上あり、現実的に家に置くことは不可能です。
ということで、M-3を買うことにしてメールで、もう一度金額を確認しました。
次のようなメールが返ってきました。
オルガン関係の価格は$1687で変更ありませんが、航空便の値段が$2248であることがわかりました。
■ 2002年10月25日
$750のオルガンに対して輸送費が$2248というのは、やはりあんまりなので、泣く泣く航空便をあきらめて船便の輸送費を聞きました。船便は、塩にやられるという人もいて、ちょっと不安ですがM-3に
合計50万円以上払うのも納得できないので、とりあえずこれで進めることにして、船便について質問しました。
以下のメールが返ってきました。
輸送自体は約30日かかり、ショップ−>米国の港−>日本の港までの輸送費が$567.87だそうです。日本の通関費用と日本国内の配送は別途日本であなたが手配して支払うそうで、その分は含まれていません。
楽器の輸入の場合には関税がないので手数料と消費税だけのはずです。それでも、けっこうかかりますが・・・ 日本の港から自宅までは、運ぶだけなら3〜4万円だと思うので、これで進めることにしました。
米国在住の知り合いに頼んで、日通での今回の輸送費を別途調べてもらいました。
$300:店から港まで
$140:米国から日本までの船便の価格(意外に安いので驚きです。)
$150:米国での手数料
「以下は、日本での支払い」
4〜5万円:税関手続きと手数料
3〜4万円:港から自宅まで
ほぼ、同じ金額(なぜか店の方が少し安い)なので、Steven氏に購入の意思を伝え、前金の$500がクレジットカードから引き落とされました。
ちなみにクレジットカードの番号は、メールで送っていますが、盗聴(?)されると嫌なので、番号だけを書いたメールを送り、その後、昨日のメールはクレジットカードの番号ですという
手の込んだメールの打ち方をしています。
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