オルガンを個人輸入する際のTips

  このプロジェクトは、米国からトーンホイールハモンドのM-3を実際に個人輸入してみようというプロジェクトで したが、ここで得たいくつかの教訓(それほど大げさではない)をご紹介します。
  とは言っても、1台輸入しただけなので、すべて正しいのかどうかは保障できません。

  もし、輸入してみようという方がいれば、何かの参考になるかな?という程度だと思ってください。
  この通りにやって、何か問題があっても私は責任を持ちませんのであしからず。


 オルガン販売業者の選定
  これは、とても難しいです。米国に友人でもいない限り確かな情報は得られません。仮に友人がいても、米国は広いので当てにできないかもしれません。米国HAMTECH MLに投稿して実績のあるところを聞き出すか、メールや電話のやり取りから信頼できそうかどうかを判断するしかありません。
  以下は、いくつかの判断基準です。

  • HammondやLeslieに詳しいこと。 これは、当然ですね。詳しくなければ数十年前の楽器を不適当な評価で何のチェックもせずに送ってくることになります。
  • 日本に楽器を輸出した経験があること。 これも、けっこう重要で、INVOICEなどに不備があったりすると、けっこう時間とお金ががかかるめんどくさいことになります。
  • 木枠を組んだことがある業者であること。航空便にしろ船便にしろ、オルガンに木枠を組む必要があります。
  • レスポンスが早く、レスポンスの内容が適切である業者であること。問合せに対して、レスポンスが遅い業者や内容が不適切な業者は、何かしらの問題がある可能性があります。
  • 自分が使っているクレジットカードが使える業者であること。支払い方法を見つけるのは、思ったよりたいへんです。ただし、郵便為替(Money Order)は、日本の郵便局で手続きができるので意外と簡単という話も聞きます。またPayPalも最近は人気が出つつあります。

 

輸送方法について
  一番早くて便利なのは、航空便ですが、値段も高いです。また、業者の近くに国際空港がないと、米国内での輸送だけでけっこう($500以上)かかってしまいます。 航空便の運賃も結局は、業者の住所、自分の住所、輸送業者などによって大きく変わりますが、$2000から$4000くらいでしょう。このほかに、保険料や税関での手数料などかかります。船便の場合には、航空便にくらべ格安ですが、塩にやられてしまったり、時間がかかる(私の場合で、一ヶ月)のが難点です。どちらにしても、CRATEといって オルガンに木枠を組む必要があります。空港や港ではフォークリフトで運ぶので、これをしないと、ばらばらになったオルガンが届くことになるかもしれません。CRATE代は、$200から$600くらいだと思います。
 
 英語力が必要かについて
  残念ながら、これは必須項目です。英語ができる友人に手伝ってもらうという手もあるかと思いますが、友人がオルガンについて詳しくないとオルガン用語の英語が分からないと思うのと、翻訳はけっこう負担になります。まして、途中で問題がおきると、友達との仲までおかしくなりかねません。
 
リスクについて
  とにかくいろいろなリスクがあります。思いつくままに下記に列挙してみます。
  • 頼んだ品物ではないものが届く。
  • お金だけ取られて、品物がこない。
  • 届いたものが、壊れていた。 元々が数十年前の中古なので責任分解点が難しい。
  • クレジットカード会社から、心当たりのない請求がくる。

  これらは、良心的な業者であっても不可抗力で発生してしまう場合があります。これらの問題について、すべて自分の責任で処理する必要があります。
  面倒くさいとか、時間がない場合には日本の業者から購入しましょう。
 

他の方からのアドバイス
  以下は、米国シカゴで長年Hammond Organを販売しているMusicville Inc.の
Harvey Olsen氏からのアドバイスです。Musicville Inc.からオルガンが買えるかという質問に対して返ってきた答えです。細かなニュアンスもあるので原文のまま掲載します。

We buy vintage organs and Leslies when we find them, plus we occasionally get them in trade for new equipment.  However, I firmly believe buyers should evaluate used organs for themselves before the sale.  There are just too many potential problems with export sales.  I can't do a proper follow up if something goes wrong plus both the buyer and seller are at the mercy of shippers, airlines, agents, and others involved with the delivery.   

NO used B3 or A-100 is 100% PERFECT regardless of what a seller may tell you.  Importing an organ from the US would be EXPENSIVE!  A super clean B3 will likely cost the equivalent of US $20,000 by the time it's actually gets to you in Japan.  If you are serious about buying an organ here, I suggest that you visit the US yourself, or have a trusted friend over here handle the details for you.

 

良い点は何か
  では、良い点がないのかと言えば、そうではありません。以下に良い点を列挙します。
  • とにかく玉数が豊富です。私のように、M-3が欲しいとなると、日本の業者がたまたま在庫を持っていない限り、日本の業者も米国の業者から輸入することになります。
  • 価格が安い。B-3+122でも$10,000が上限です。(最近はもっと高いのもありますが・・・)A-100だと$2,000くらいからありますし、L-100に至っては数百ドルですから、10台買っても数十万円です。もちろん、別途輸送費はかかります。
  • 実際に私の目で確かめたわけではありませんが、できる限りの調整を行い販売することを売り物にしている業者もあります。 もちろん、すべての業者がそうしているわけではありませんが。
  • 改造ショップなどがいまだに健在です。CHOPにしてくれる業者もけっこうあります。

 

Ebayなどの海外オークションについて
  一概に問題ありとは言えないようですが、以下のような問題が発生することがあることは周知の事実です。
  • 出品者がオルガンに詳しくないと、どんなオルガンでも、Hammond B-3だと思いこんで出品してしまう。つまり、オルガンのメーカや種類が違うものである可能性がある。良くあるのは、B-3とかB-4(?)だと思うとか、BVをB-3と言っていたりです。
  • 輸送は、落札者が自分で手配する場合が多い。つまりけっこう大変ということです。特に木枠を組んでくれる業者を見つけるのは大変だと思います。
  • 届いたオルガンが、部品取りにも使えないオルガンだった。
  • 指定された支払方法が、日本からだと不可能な方法だった。

 

一番良いのは
 
Harvey Olsen氏が言っているようにアメリカまで自分が行って、購入してくるのが一番良いと思います。試奏もできますし、現物を見ることもできます。また、業者の人たちとも話すことができますし、本当にその業者が存在していることを確かめられます。B-3、C-3、A-100クラスを日本の業者から購入することを考えれば、ディスカウントのチケットであれば、 十分元がとれると思います。もちろん、米国本土はハワイなどと違って、英語しか通じませんから、英語力は必須です。
  ただし、気に入ったオルガンがないと、ただの観光旅行になってしまいます。米国での国内線の飛行運賃は出発の直前だと、国際線の運賃くらいしますので、急遽別の業者も見ることになると、かなりのお金がかかります。事前に自分の欲しいオルガンがあるかを確かめ、最終的な確認のために渡米すると考えたほうが良いでしょう。 米国の業者も、わざわざ日本からオルガンを買いに来たと思えば、歓迎してくれるでしょう。
 

  オルガンの木枠梱包について知りたい人は、こちらをどうぞ。
 
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