B3sForSale

jホームページ http://www.b3sforsale.com/
住所 Syracuse, NYから北に車で90分
訪問 2004年9月
   
   このお店は、以前からどうしても訪問したいお店の一つだったのですが、かなり遠いので躊躇していました。しかし、今回やっと訪問することが出来ました。
  B3sForSaleは、お店というよりもメンテナンスの工房であり、原則的に一度に1、2台のHammondしか販売しません。 つまり採算を度外視した商売をしています。その理由は、下の訪問記を読んで頂ければ分かると思います。
 この写真は、B3sForSaleから車で15分くらいのところにあるThousand islandsという場所で撮ったものです。1000を少し切る997の島が点在しています。B3sForSaleは、こんな美しい景色の中にありました。 この辺は、秋に来ると木々が紅葉して、とてもきれいだそうです。
 B3sForSaleは、Hammond Organのメンテナンスの工房であり、この写真と下の写真に写っている部屋(同じ部屋を違うアングルから撮ったものです。)がすべてです。訪問した時には、1964年製のA-100のメンテナンスが、そろそろ終わりという状態でした。A-100の右側に、メンテナンスで使用する各種の薬剤が置いてあるのが見えます。これは、たぶん、企業秘密ですね。(笑)
 写真の左下の部分に、製造年とシリアル番号を書いたダンボールが置いてあります。購入者にメンテナンスの状況を知らせる時に、この札を付けて デジカメで写真を撮ります。
  B3sForSaleのオーナーが、お店にオルガンが少ない時に写真を撮ったので少し心配しています。もっといっぱいオルガンがあるときの写真は、こちらのページの一番下をご覧ください。
 A-100のマニュアルが外され、きれいにメンテナンスしてありました。メンテナンスの内容は、キーのクリーニングから始まり、マルチコンタクト、ドローバーなどの、ほとんどすべての接点をクリーニングし 、徹底的にハモンド・ヘアー(後述)などを取り除きます。 クリーニング後は、新品かと思うくらいピカピカになっていました。


  左の写真は、B3sForSaleのWebサイトから借用したものですが、灰色の部分にハモンド・ヘアーが付着しています。ハモンド・ヘアー(Zinc oxide)は、亜鉛コーティングが酸化したもので、酸化亜鉛または亜鉛華と呼ばれているものです。
 

  左の写真も、B3sForSaleのWebサイトから借用したものです。この白い部分が金属の酸化物です。長い間にハモンドを構成する金属部分が、このように酸化していきます。この酸化物が接触不良を作ったり、十分な電流が流れるのを妨げます。オーナーによれば、これを完全に取り除くことによって、ハモンドを販売時の状態に戻し、さらに30年間問題なく弾き続けることができると言っていました。
  この作業は、大変な手間と時間がかかるため、通常のショップでは、まず行われません。外側から見ても効果が分からないこともありますし、人件費もかかりすぎるためです。

注意 : この酸化物は、毒物です。少量を吸い込んでも危険ですので、処理は専門家に必ず任せましょう。
 
    オーナーのオルガンは、工房につながったリビング・ルームに置いてあり、オルガンは1964年のB-3、 レスリーは21H、122の2台が、MAIN/ECHOスイッチを使って接続されていました。このオルガンは、B3sForSaleのWebサイトで公開されています。 このオルガンは、ソフトな音なのですが、クリアーで低音のパンチもあり、今までに聞いたことのない良い音で鳴っていました。
  なお、このオルガンには、3バンドイコライザとHammond純正のリバーブも後付されていました。
  このリビングルームは、販売するオルガンのテストルームとしても使われており、彼のオルガンと同じ音響環境を使用して販売するオルガンがテストされます。
  カナダでは、若い人たちにもハモンドオルガンは人気だそうです。たくさんの音楽スタジオが、程度のいいB-3を探していると聞きました。
    B3sForSaleは、仕入れと電気系(プリアンプなど)を担当する人と、これらを除くすべてを担当するオーナーの二人で構成されています。 なお、オーナーは、「The Hammond B3 Disassembly & Restoration Manual for Non-technicians」の執筆者でもあります。
 

  このショップには、Hammondオルガンに対する情熱と献身を感じました。
  このショップからオルガンを購入する場合には、決して作業を急がせてはいけません。このショップには、それだけの時間が必要な理由があるのです。

 
COPYRIGHT (C) 2004 TAKAGI-AN. ALL RIGHTS RESERVED.