B3コレクターのための評価ガイド

  アメリカ人のHarvey Olsen氏がHAMTECHメーリングリスト(HAMTECHJPではありません。)に2001年1月に投稿したものを、作者の許可を得て高木庵が日本語に翻訳しました。
  作者のHarvey Olsen氏は、Musicville, Inc.というシカゴのハモンドのディーラで、トーンホイールハモンド(もちろん現在のハモンドもですが)のことは何でも知っているといっても過言ではない人です。
  原文のタイトルは、「Rating Guide For "Collector-Grade" B3s」となっています。
  ユーモアたっぷりの評価ガイドとなっていて、作者からも正式なものではないという注釈をつけてくれと言われていわれておりますので、ここでお断りしておきます。
  見れば分かりますが、評価としては、10.00が一番高く、1.00が一番低くなっています。
  原文は、こちらにありますので、英語でご覧になりたい方はどうぞ。

  いつもと少しだけ違った日曜日の朝のために・・・
  私は、よく古いハモンドの評価を依頼されます。しかし、依頼者は、いつjも、その評価結果に満足しません。そんなときには、このユーモアたっぷりの評価ガイドを一緒につけることにしています。もちろん、このガイドは、正式なものではありません。

10.00

 10ポイントのオルガンは、この世に存在しません。最後のB3が70年半ばに工場から出荷されて以来、完全な10ポイントのオルガンは存在しません。生産された時点で、多くのB3は完全ではなかったからです。梱包を解かれていないB3でさえ、年月の影響を受けているので10ポイントの評価は、得られません。何をもってすれば、10ポイントになるかというようなことは、忘れるべきです。この10ポイントのオルガンは、神経質なコレクターの空想です。しかし、もし、このようなオルガンが存在するとしたら、日本のどこかで、ガラスケースに収められているかもしれません。他人は、触ることも演奏することも許されず、オーナーでさえ、演奏することを許されないでしょう。

9.00

 このレンジのB3は、生産から25年以上経過したコンソールの最高グレードです。オリジナルのままで、外観も、メカ的にも、電気的にも完全です。しかし、売りに出ることはほとんどないので、見つけようとするのは時間の無駄です。もし、売りに出たとしても、オーナーがなくなったためとか、あまりにもやりすぎのオーナーの家族が、無理やり説得して出品したものです。どちらの場合も、値段は法外でしょう。オーナーとの最初の交渉権を得て、退職金をあてがうなどしない限り、手に入れることはできません。

8.00

 これは、おばあさんの亡き夫のオルガンでした。6年前であれば、おばあさんをだまして300ドルで、このB3を手に入れることができたかもしれません。しかし、今や彼女もあなたがどんなにひどい人間かを知っています。お葬式の後の微笑みは、いまや、ほとんど軽蔑になっています。結局のところ、息子からコンピュータをもらってからは、彼女もあなたと同じ情報を得ているのです。オルガンは、タヒチへのオーシャンクルーズに十分なお金を手に入れるまでコンドミニアムを離れることはありません。そして、おばあさんは、船上でスロットマシーンをしたり、ブラックジャックをするために多くのお金が必要だということも忘れてはいけません。

7.00

 このB3は、完全ではありませんが、しかし、それほど悪くありません。すべては、改造されておらず、音も問題ありません。掃除機が脚やベンチに何回かぶつかったり、ダースベイダーが離陸したときにつぶれた譜面立ても、専門家によって修復されています。このオルガンは、三世代にわたって同じ家族のもとにあり、複数回に及ぶ引越し、子供、孫、離婚にもかかわらず現存しています。所有者は運搬費用をあなたが負担すれば、慰謝料のために、$8000で手放そうとしています。あなたが、本当に良い人であれば、JR-20トーンキャビネットも手放すかもしれません。

6.00

  このオルガンをミント(mint)やプリスティーン(pristine)と評価するeBay以外は、平均的なオルガンだと多くの人が思うでしょう。このオルガンは、1950年代にはタバコの煙と調理油をしみこませたレストランのカクテルラウンジにありました。その結果、古びた黄色のキーとにおいを、このオルガンは手に入れました。左側のチークブロックにある小さな焼け焦げは、まったく魅力的ではありません。1965年に、オーナーであるオルガニストが引退した時に、このオルガンが自宅に持ち帰られ、それ以来演奏されたことはありません。もちろん、埃にまみれていて、スタートすることはできませんが、数週間かけてリストアすれば、それなりの状態に戻すことができます。B3(およびそれに付随する21Hレズリー)の言い値は$5000か、1955年に購入した価格の約二倍です。

5.00

  このオルガンは、オリジナルのオーナーである熱烈なロック・スター志望者が堅実な仕事につくことに決めた後に、全国縦断のゴスペルグループに売られました。概観は、もはや価値を決める要因ではなくなっています。譜面台やベンチは、なくなってしまっています。驚きですが、ペダルについては3個目ですが、オルガンの残りの部分はオリジナルのままです。何年も前に大きな足のゴスペルミュージシャンが最初の2つのペダルを踏みつけ、薪にしてしまいました。必要にせまられたために、このB3は定期的に演奏されましたが、マニュアル、ドローバー、回路などは、ひどい状態です。それらが最後に取り替えられるときには、誰も言い値で買ってくれる人がいないため、また、ゴスペルグループに売られるでしょう。

4.00

  このB3は、ひとつ上のものと似ていますが、ダメージはより深刻です。これは、何年にもわたって有名なロックのツアーに使用されたため、ペダルやオリジナルのコンソールでさえずいぶん前になくなってしまっています。新しいコンソールは、荷造り用の木枠がつかわれていますが、特製のフライトケースに収められているので問題ありません。オリジナルの部分はほとんどなく、出荷時の部品が残ってはいるものの、それらは極端な改造が施されています。したがって、オルガンの音は、このロックミュージシャンの音と本物のB3の音の間のどこかに位置し、ケースバイケースです。オリジナルのオーナーは、カスタマイズのために$20,000を費やしましたが、その結果残ったのは完全なジャンクです。でも、安く買おうと思ってはいけません。年をとったロックミュージシャンは、いまやブローカーと化しており、過去の自分の栄光をかざして、実際の価値の10倍をふっかけてきます。

3.00

  初心者は、このB3を程度が良いと信じてしまいます。しかし、実際には、かなり違います。頑固なB3信仰者でさえ、その嘆かわしい状況によって、手を引いてしまいます。なんとか動作するかもしれませんが、通常使用可能な状態に戻すためには、大規模な修復作業が必要です。何年も前に、多くの人たちが、このような状態のオルガンをジャンクとして捨てましたが、今は考え方が少し変わりました。このオルガンを、何らかの理由でどうしても必要でない限り、安いことにだまされてはいけません。一般的な人々は、4本の脚を持つオルガンというだけで、それをB3だと思っています。60年代のローリーフェスティバル(Lowrey Festival:ローリー社のオルガン)であれば、まだいいほうです。あなたのお母さんか、金融会社だけが事実を知っています。

2.00

  このオルガンは、オリジナルパーツが51%残っているという理由で、B3と呼ぶことができます。もちろん、このオルガンは動作しませんし、動作するはずがありません。オルガンとして動作するのに必要な部分が存在しないからです。折り紙付きのB3オタク(または、オンラインのハモンドユーザグループの活発なメンバ)でない限り、部品取りのためのオルガンとも思わないでしょう。もし、万が一、このオルガンを購入してしまっているならば、eBayで部品を売ることによって利益を得ることができるかもしれません。ハモンド愛好者は、あなたの窮状を理解できますから、あざ笑いのレベルを最小に抑えることができます。

1.00

  最も楽天的な愛好者でさえも、このジャンクはもはやB3とばれる権利を失っていることに同意します。オリジナルの部分のほうが少なく、残っているオリジナルの部分でさえ、部品取りにも使用できない状態です。しかし、もし、コンソールの骨格が残っていれば、極端に世間知らずの人であれば、何らかの可能性がまだ残っているのでは考えるかもしれません。人の目さえ気にしなければ、このガラクタを抽象彫刻にかえることは、いつでもできます。eBayでさえ、これを扱うことはありません。
楽しんでもらえることを期待して・・・

Harvey Olsen
Musicville, Inc.
  アメリカ人のHarvey Olsen氏がHAMTECHメーリングリスト(HAMTECHJPではありません。)に2001年1月に投稿したものを、作者の許可を得て高木庵が日本語に翻訳しました。
  作者のHarvey Olsen氏は、Musicville, Inc.というシカゴのハモンドのディーラで、トーンホイールハモンド(もちろん現在のハモンドもですが)のことは何でも知っているといっても過言ではない人です。
  原文のタイトルは、「Rating Guide For "Collector-Grade" B3s」となっています。
  ユーモアたっぷりの評価ガイドとなっていて、作者からも正式なものではないという注釈をつけてくれと言われていわれておりますので、ここでお断りしておきます。
  見れば分かりますが、評価としては、10.00が一番高く、1.00が一番低くなっています。
  原文は、こちらにありますので、英語でご覧になりたい方はどうぞ。