Hammond New B-3 私設カタログ

 

ハーモニックドローバー

ハーモニック・ドローバーの全景。 全部で38本あります。
 

上鍵盤と下鍵盤は、9本で1セットです。
 

特徴

ハモンドオルガンでは、一つのキーを押したときに、最高9個のトーンホイールの音を鳴らすことができます。それぞれのトーンホイールの音を鳴らす・鳴らさない、またどのくらいの大きさで鳴らすかを調整するためのスライドボリュームをドローバーと呼びます。ハモンドオルガンでは、このドローバーを操作して、音色を作ります。

ドローバーは、上鍵盤用に9本×2セット、下鍵盤用に9本×2セット、ペダル用の2本×1セットを持っています。上鍵盤用と下鍵盤用の2セットは、それぞれの鍵盤のプリセットキーのA#とBのキーを押したときに、それぞれ 左と右のドローバーセットが選択されるようになっています。

上鍵盤と下鍵盤用の9本のドローバーには、左から16'(16フィート)、5 1/3'(5と3分の1フィート:以下同様)、 8'、4'、2 2/3'、 2'、 1 3/5'、 1 1/3'、 1'という刻印が付けられています。

ペダル用のドローバーには、16'と8'という刻印が付けられています。(ペダルの音は、1本のドローバーに複数の倍音成分を含んでいます。)

この刻印は、パイルオルガンからきており、基音が8フィートの長さのパイプだとすると、一番左のドローバーの音は16フィートの(基音より1オクターブ低い音が出る)パイプの音であることを表しています。

鍵盤中央のCの音を弾いたときに、どのドローバーの音が鳴るのかを以下の表に示します。 鍵盤との対応で見たい人は、こちらをどうぞ。
 

16 5 1/3 8 4 2 2/3 2 1 3/5 1 1/3 1
1オクターブ低いC 5度のG 基音のC 8度の(1オクターブ高い)C 12度のG 15度の(2オクターブ高い)C 17度のE 19度のG 22度の(3オクターブ高い)C

白のドローバーは、オクターブ高い完全協和音です。高いほうのドローバーを引くと音の輝きを増します。

黒のドローバーは、基音に対して5度、3度という関係の音で、豊かな音色を作るときに使います。

茶色のドローバーは、基音の1オクターブ低い音と、その音の第3倍音(基音からは5度の音)です。深さと豊かさを音色に加えるときに使います。

ドローバーについている数字は、音色を作るときの目安に使います。これは、次のように使います。例えば、ジャズでよく使われる俗に言う下三本は、88 8000 000のように表し、対応するドローバをどこまで引いた音色かを表します。ロック系でよく使われる音色は、88 8800 000です。88 8888 888は、オーケストラレーションのゴージャスな響きを持ちます。
 

ちょっと一言

物理的な音には、楽音(Musical Sound)と噪音(Unpitched Sound)の二種類があります。楽音はバイオリンの音のように基音の上に整数倍の調和倍音を含む音をいい、噪音はドラムのように非整数倍の不調和倍音を含んでいます。楽器は、一般的に楽音を使います。もちろんドラムのような例外もあります。

例えば、ギターとピアノのように、楽器の音色が異なるということは、基音に対して含まれる倍音の種類や大きさが異なるということです。

ハモンドオルガンでは、この基音や倍音の種類や大きさをドローバーを使って調節して音色を作ります。

ハモンドオルガンは、2億5千3百万通りの音色を作り出せるといわれています。

 
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