素人による素人のためのライブ撮影講座

  オルガンライブを見に行って写真を撮って帰ってきたら思ったように写っていなかった! なんてことよくありますよね。ライブは暗いので、最新のデジカメでも思うようには撮れません。 ミュージシャンのホームページをボランティアで作っている方も最近多いようで、同じ悩みを持っている人がたくさんいます。そこで、今までの失敗談や、こうやればけっこう良く取れたなどの体験談を公開します。
  もちろん、この通りにやって、うまく行かなくても責任は持ちません。
  なお、画像はサムネイルになっていますので、クリックすると大きな画像を見ることができます。
目次

 基礎の基礎
 フラッシュをたくか、たかないか
 暗い!その時に。
 撮ったあとで
 その他
 追記
 
基礎の基礎

  フルオートのデジカメやある程度のマニュアル撮影ができるデジカメを使って撮影した場合、失敗のほとんどは、ぶれているのと、明るさが足りないのの2点になると思います。そこで、以下の点に気をつけます。

(1)  両手でカメラをしっかり支える。
  シャッターを押したときに、カメラが揺れてぶれないようにするためです。 場合によって異なりますが、シャッターを押してから、1秒くらいは動かないで我慢します。

(2)  脇をしめる。
  これも、脇があいているとどうしてもシャッターを押したときにぶれます。

(3)  明るいレンズのカメラで撮る。
  レンズが明るければ、オート撮影の場合、シャッター速度が速くなります。つまり短い時間でシャッターが閉じるので、演奏者が動いた場合でも、こちらが動いた場合でも、ぶれる率は小さくなります。

(4) ある程度の重さのあるカメラで撮る。
  200グラム前後という軽いカメラのほうが撮りやすいと思うかもしれませんが、ある程度の重さがあったほうが、シャッターを押したときにカメラ自体がぶれません。そのぶん、持ち運びはたいへんですが。

(5)  シャッターは、ゆっくり押す。
  シャッターを勢いよく押すと、カメラが動いてしまいぶれてしまいます。ゆっくり、オートフォーカスが働くところまでシャッターボタンを一回押し込んで、さらにゆっくりボタンを押してシャッターをきるようにします。

(6)スポットライトが当たっている時に、撮影する。
  スポットライトが当たっていれば、フラッシュを焚く必要はほとんどありません。自然で写りの良い写真を撮る絶好のチャンスです。

(7) 本当に暗いときは、LCDではなくファインダーをのぞく。
  暗いとLCDには何も写らないときがあります。でも、ファインダーには写っているのでファインダーを使うと、被写体を捕まえることができます。

(8) たくさん撮る。
  1枚だけしか撮らなければ、その写真が失敗していれば終わりですが、枚数が多ければその中から少しでも良いものを選ぶことができます。デジカメで撮る分には、何枚撮ってもお金はかからないので、できるだけたくさんとることをお勧めします。私の場合は、2枚ずつくらい同じ構図で撮ります。

(9) 本番のライブの前にたくさん練習する。
  部屋の中などのように、暗いところでいろいろ練習すると自分のカメラの特製が分かってきます。どうやったらどうなるかをいろいろ変えて撮影し、結果をPCなどの大きな画面で見ると、自分なりの傾向と対策をつかめると思います。
 

フラッシュをたくか、たかないか

  ライブは通常暗いのでフラッシュと焚いて撮影すればいいやと思いますが、フラッシュを焚くと、こんどは雰囲気がなくなってしまいます。しかも、周りのお客さんや演奏者の方にも迷惑がかかるので、私はあまり使いません。フラッシュを使うのと使わないのでこれだけ違うという例がありますので、いくつか見てください。

フラッシュ使用

フラッシュ未使用

   

  これを見る限り、フラッシュを使わないほうが、明暗が出るために、より自然で、雰囲気が伝わるように思えます。 フラッシュを焚くと、LEDがついているのかどうかも、もう分からなくなってしまいます。

  フラッシュを焚かないでうまく行った例をいくつかご紹介します。

 

お店自体の調光機が比較的明るい時に撮りました。実はそれでも少し明るさを以下で述べる方法で補正してあります。このくらいで撮れていれば補正もぜんぜんラクチンです。ウデが良いからうまく撮れたわけではありません。

これは、スポットライトが当たっているので、うまく撮れました。これもウデが良いからうまく撮れたわけではありません。(笑)

スポットライトは当たっていませんが、被写体がとても近いのでうまく撮れました。これもウデが良いからうまく撮れたわけではありません。(爆)

  どうしてもフラッシュを焚くときは、フラッシュの光度が調節できるのであれば、なるべく光度を下げるか、少し遠くからズームを使って撮ると自然な感じに撮れます。

 

  暗い!その時に。

  とにかく光を多く集めるようにすることです。そのために・・・

やってよいことは、被写体に近づくこと、なるべく被写体が動いていないときを狙うこと。
やっていけないことは、ズームを使うこと。

  ぐらいでしょうか。暗いと、シャッタースピードが遅くなるので「基礎の基礎」に書いたことを忠実に守っても、暗すぎたり、ぶれているときがあります。
  カメラが動いたことによってぶれている場合には、持って行くのがたいへんですが、三脚を使うという手もあります。三脚がなくても、何か台の上にカメラを乗せて撮るのも一つの手です。ただ、構図やアングルは限られてしまいますが。
  なお、暗いだけならば「撮ったあとで」にある方法を使うと、デジカメの画像は補正することができます。
 

  撮ったあとで

  家に帰って、PCで撮った画像を見てみたら、こんなはずではなかったということがよくありますよね。これを、コンピュータソフトを使って補正してみましょう。

  まず、画像が暗い場合の例を二つほど。

えっ、なんにも写っていない!
という感じです。
明るさを増すとここまでいきました。
ギターアンプの銘柄や、演奏者の楽しんでいる表情まで見えます。
ただし、画質は荒れてしまいました。
画像サイズを小さくすると、目立たなくはなりますが・・・
誰だかわからないですよね?
明るさを増すとここまでいきます。
ぜんぜん問題ないです。

  次のは、ライブではありませんが・・・

フラッシュを焚いたつもりが光らなかったので、完全な露光不足です。
明るさを補正するとこんな感じです。下のフラッシュが光ったものと比べると、画質は劣りますが、そんなに違いません。
これは、フラッシュがちゃんと光ったものです。

  上の画像の補正には、1万円以下で買えるAdobe Photoshop Elementsを使用しました。他の画像処理用のソフトウェアでも明るさの補正くらいはついていると思いますが、買うときにお店で確認しましょう。

  Adobe Photoshop Elementsを使用して補正したのは、明るさやコントラストですが、画像のシャドウ、中間調、ハイライトの強さをレベル補正で調整することによって、画像の色調範囲やカラーバランスを補正することができるので便利です。

  なお、画像処理用のソフトウェアは、他にも次のようなことができます。
  ・ 要らない部分を切り落とす。
  ・ 画像自体の大きさを変える。
  ・グレースケール(階調ありの白黒)に変える。
など、など、その他たくさんのことができます。

 

その他

  お店によっては、写真撮影禁止のところもあるので、撮影する場合には、一言お店の人に許可をもらいましょう。フラッシュ禁止のお店もあるようです。また、自分のホームページに掲載する際には、ミュージシャンの方にも、一応許可をもらっておいたほうがお互い気持ちよくことが進むと思います。
 

追記(2013年1月)

  このページを執筆してから既に10年、修正を行ってからでも7年経ちました。この間にデジタルカメラの性能は劇的に進化しました。人間の眼と同じくらい明るいレンズ、手ぶれ防止機能、絞りやシャッタースピードをマニュアルで操作できるコンパクトデジカメが各社から発売されています。価格もかなり抑えられていますので、きれいに撮りたい方は、これらのデジカメを使うのが近道だと思います。ただし、最新の高性能なデジカメを使用しても、上に記述したポイントは有効ですので、これらに気をつけたり、応用してライブの写真を撮っていただければと思います。
 

謝辞

  被写体になっていただいたオルガニストの皆さんありがとうございました。
 

お願い

  ご意見をお待ちしております。info AT hammond.jpまでよろしくお願いします。
 

COPYRIGHT (C) 2002, 2003-2006,2013 TAKAGI-AN. ALL RIGHTS RESERVED.